第58章 事件の裏側で
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そんな穏やかな日が続き、遊郭での戦いから二ヶ月経った頃、炭治郎が桜と別任務の時に怪我を負い 蝶屋敷に泊まった。
桜は翌朝その報せを受けるとすぐに蝶屋敷へ向かい、そこでベッド脇に座る不思議な目をした名を知らぬ女の子に出会した。
(あ……、)
「こんにちは。久しぶりだね。」
女の子は動揺しているのか汗を流しながら眉尻を下げている。
またもや名前を聞けないのかと桜が寂しそうな顔をすると、女の子 もといカナヲが慌てて口を開こうとした。
しかし、その時炭治郎が泣きながら目を覚した。
炭治郎曰く、夢を見たそうだ。
夢と言ってもそれは先祖の記憶の様なものでありとてもリアルなものであった。
そして昨夜の任務で駄目になりかけていた刀がいよいよ限界を迎えてしまった。
少し前から刀鍛冶の担当者にお願いしていたのだがその返事の手紙が恐ろしいのだと言う。
炭治郎はその手紙を見せてくれた。
桜は読めなかったが怨念のようなものを感じた。
「……なんか、こう…背筋が寒くなるね。」
炭「うぅ…こっちから出向いてお願いするしかないのかなあ…。」
そんな事があり、炭治郎は煉獄家へ帰るとすぐに杏寿郎に訳を話し、一人刀鍛冶の里へと向かう事となった。
その時は誰もその里で大事件が起こることなど想像もしていなかった。