第57章 ※聞き分けとお返し
杏「心配するな!!約束する!もう怯えて生活をする必要はない!!安心し…頼む、泣かないでくれ。」
杏寿郎は桜の涙に弱った表情をしながら優しくそれを拭っていった。
桜はその手に触れて眉尻を下げながら微笑む。
「約束ですよ。一番の約束です。」
二人は散々来世について話し合ってきたが、『杏寿郎が桜を忘れていたら』について話しても『桜が杏寿郎を忘れていたら』については話してこなかった。
それは桜が "未来から来て 未来に帰る存在" という意識が底にあったからだ。
そして無意識が故にその事に二人とも気が付かないままであった。
それに気が付かないまま二人は微笑み合う。
杏「ああ、約束しよう。」
それから二人は桜の体と布団を綺麗にし、もう一組の布団で幸せそうな顔をして眠りについたのだった。