第57章 ※聞き分けとお返し
杏(桜は人を無条件に許したり、異常なまでに良心を信じ過ぎるところがある。今はそれを自覚してくれるようになった筈だ。もう気が付いているのだろう。その男共が当てたのが荷物ではない事に。)
杏「桜、きちんと答えてくれ。」
「あ………、あの、…でも、証拠もなくて…、」
杏「どの様に当たっていた。」
杏寿郎は腹に乗った精液を気にせず桜をうつ伏せにすると尻に昂りを擦り付ける。
それに桜がいつもと異なる緊張を伴った震え方をすると杏寿郎は固まった後に再び眉尻を下げた。
杏「…そうか。」
「しょ、証拠が…っ」
杏「君が気が付かなかったという事は君から見えない後側に掛けられていたのだろう。それならば尻に当たっていた物は男のこれだ。荷物ではない。……君ももう分かっているのだろう。桜、この世には悪い人間もいる。」
杏寿郎は桜をぐちゃぐちゃになってしまった布団の上に再び仰向けにさせると顔を近付ける。
杏「もう分かっているのだろう。」
同じ言葉を繰り返す杏寿郎の声は更に低くなった。
すると桜は罰の悪そうな顔をしながらも目を逸らさずにこくんと頷いた。
「…………………はい……分かっています…。」
杏寿郎は息をつくと桜の首元に顔を埋めた。