第57章 ※聞き分けとお返し
桜はこくこくと頷くと浴衣を脇に置いて自身も脱ぎ始めた杏寿郎を眉尻を下げながら見つめる。
杏(む…俺が脱ぎ終わるのを待っているのか。思考が完全に止まっている訳ではないのだな。)
杏寿郎は脱ぎ終わると褒める様に桜の頭を撫でてから燃える目を細めて笑った。
杏「偉いな、桜。もう触っていいぞ。きちんと達する顔を俺に見せる事が出来たら褒美をやろう。」
杏寿郎に褒められれば褒められる程、撫でられれば撫でられる程、桜の頭は蕩けていった。
そしてこくりと頷くと杏寿郎を見上げながら再び中を弄り始めた。
「あッ、んぅ!!……でちゃい、ます…っ」
杏「相変わらず早いな。」
そんな言葉を放ちつつも杏寿郎は優しい瞳を向け、許すように優しく桜の頭を撫で続けた。
それは催促のようでもあった。
「……ッ!!……あっ!!!」
ぷしゅっと音がした後、桜は目を閉じながら潮を噴く。
杏「桜、こちらを見ろ。」
杏寿郎は頭を撫でる優しい手付きと矛盾する様に酷く低い声を出した。
薄っすらと目を開けると猛禽類の様な燃える瞳が自身を食い入るように見つめている。
(そう、だった………、)
なかなか止まらない潮を噴いて体をがくがくと震わせながら桜は蕩けて泣く顔を杏寿郎に見せた。