第57章 ※聞き分けとお返し
(まさか快諾するとは思わなかった…。そんな事したら蜜璃ちゃんが可哀想だし、実弥さんもよそよそしくされたら嫌がるだろうし…。)
しかし杏寿郎の嬉しそうな雰囲気からぶんぶんと振っている尻尾の幻覚を見ると桜は説得を諦めてしまった。
(二人には謝罪の手紙を書こう…。)
「分かりました。……わざと嫉妬させないのも約束だよ。」
杏「うむ!!安心してくれ!君が既に今まで嫉妬していたと知って満足した!!!」
桜はその心底嬉しそうな声を聞いて少し困った様な笑みを浮かべると回した腕に力を込める。
それに応えるように杏寿郎もぎゅっと一度強く抱きしめてから勢い良く体を離した。
杏「ではもう一つの話をしよう!」
「…………もう一つ?」
杏「うむ!君は俺にお返しがしたいと言っていたろう!!」
「あ、うん。でもあれは、」
杏「自慰をしてくれ!!俺の目の前で!!!」
「………………なにを……?」
桜が聞き返すと杏寿郎は少し不可解そうな顔をする。
杏「自慰だ。」
「ううん、そうじゃなくて何を考えてるの?それにお返しはお守りに決めたよ。」
杏「御守りでは物足りなさそうにしていただろう。」
「満足しました。」
杏「むぅ。」
杏寿郎は不満そうな声を上げると桜の上に覆い被さりいつもより多めに体重を預けた。