第56章 戦いを終えて
(こればかりは成田さんの頭脳次第だわ。私にある知識は全部伝えた。それでも関わった以上、やっぱり『使えなかったらどうしよう』と思ってしまう…。)
杏「桜?」
目的地である居間を通り過ぎようとした桜を杏寿郎が不思議そうな声色で呼び止めた。
「あ……。」
杏「心此処にあらず、といった印象を受けるが…ランプの事だろうか。今気にしても仕方ないぞ。」
「……そう、ですね。うん。」
桜は杏寿郎の真っ直ぐな瞳を見つめて自身のゆらゆらとしていた気持ちを落ち着けるとパンパンッと頬を叩いた。
「よし!頑張って演奏するぞ!」
杏「頑張るのは良いが頬をあまり強く叩かないでくれ。痛々しくて耐え難いぞ。」
「そんな…ちゃんと叩かないと気合いが入りませんよ。」
杏「むぅ。だが駄目だ。もうしないでくれ、入るぞ。失礼します!」
「約束できないよ、失礼します!」
言い合いながら居間へ入るとそこには千寿郎が声を掛けたのか継子達も揃っていた。
炭治郎の隣には禰豆子が入った箱もある。