第56章 戦いを終えて
「買わなくていいです!!私まだ杏寿郎さんにお返しを一つも出来てないのに…!」
杏「ふるーとで演奏をしてくれればそれが俺への贈り物になる!!!」
「そんなあ…釣り合いがとれてないです……。」
途方に暮れた顔をする桜に杏寿郎は『本当だ!!』と太陽の様な笑みを浮かべたが それでも桜は納得ができなかった。
(贈り物…何か考えよう。)
その後 再び甘味処で店員を驚かせてから杏寿郎達は任務、又は見廻りに備えて帰宅した。
千「兄上、姉上、お帰りなさい!先程 兄上が買ったというお箏が届いたのですが…、」
「千寿郎くん、ただいま。」
杏「うむ!桜が弾く箏だ!!」
千「本当ですか、姉上!」
桜は千寿郎の嬉しそうな顔を見ると頬を緩ませて千寿郎の頭を撫でる。
「うん、杏寿郎さんが買ってくれたんだ。あまり上手くは弾けないかもしれないけど後で弾くね。」
杏「その道に詳しくはないが桜の演奏は見事だと思うぞ。何より聴き心地の良い音がする。父上にも聴いて頂きたい。」
「…………槇寿郎さんは機会があったらね。」
杏「機会も何も父上はずっと家に居られるぞ。」
(…………まるでニー……、いや、でも…この時代だともうご隠居していい年齢なのかもしれない。お義父さま相手に失礼なことを思ってはだめだ…!)
杏「桜?」
「は、はいっ!がんばって弾きます!!」
杏「そうか!!!」
千「楽しみです!!」
つい元気良く返事をしてしまった桜は嬉しそうにする杏寿郎と千寿郎に困った様な笑顔を向けた。