第56章 戦いを終えて
杏「………………いや、それは…、」
「杏寿郎くん、本当に私のこと好きなの…?」
杏「とても好きだぞ!!!」
勢い良く言われても桜のじとっとした目付きは変わらない。
慌てた杏寿郎が離れた体を取り戻すように手を伸ばしたが桜はそれを更に距離を取って避けた。
杏「桜…すまない。失言だった。」
「問題は失言をした事じゃなくてそう思っているって事だよ、杏寿郎くん。」
杏「……すまない。嫌がらせをしたい訳ではない。ただ、その時の顔が…愛らしいと……、」
そう謝りながらも桜の頬がどんどん膨れていくのを見ると杏寿郎は思わず頬を緩めてしまう。
一方こんな時にまでそんな反応をした杏寿郎に桜は眉を寄せ、一人で大通りに向かって歩き出してしまった。
杏「桜!一人は駄目だ!!」
「他の男の人の方が杏寿郎さんより安全だと思う!一般の人が相手なら多分もう避けられるし!!」
杏「桜!!!」
そう呼んではみたものの、杏寿郎も桜がどの程度抵抗出来るようになったのかを見たくなってしまった。
距離を空け過ぎないように注意しながら後を追うと 桜は大通りに入ってすぐに男に声を掛けられた。