第56章 戦いを終えて
杏「もう手遅れだぞ。俺は他の女性との話をきちんと否定したが君はどうだ。寝食を共にした他の男の名まで出し、挙句に…、」
杏寿郎は途中まで言うと口を閉じてピタッと固まった。
桜が首を傾げると丁度みちるが現れる。
み「お待たせしました~。あら?喧嘩でもしたのかしら。『面白くない』って顔に書いてありますよ。」
杏「……桜と親しい男に…少々。」
み「へえぇ、あの杏寿郎さんが…。でも桜さんは杏寿郎さんしか見ていないでしょう。何も嫉妬する事はありませんよ。桜さんが杏寿郎さんをどの様な目で見ているのか、知らない訳ではないでしょう?」
杏「それは…そうですが……。」
(う…居心地悪い……。)
みちるは手早く配膳を済ませると『暫く入りませんから早く仲直りするんですよ〜。』と笑いながら座敷を出て行った。
杏「…君がきちんと俺を見てくれている事は分かっている。だが、なかなか甘えてくれなかった過去があり、不死川には違ったという事実がある。」
「……不死川さんの話は…もう、」
杏「ああ、止めよう。続きは離れでにしよう。」
「えっ」
杏「いただきます!!桜、冷めてしまうぞ!!!」
「…………いただきます。」
サクッと切り替えてしまった杏寿郎に付いていけず、桜は複雑そうな顔で箸を手に取った。