第56章 戦いを終えて
桜はそれを冷静な時に改めて、それも本人の前で思い出すと真っ赤になっていく。
その顔を見て杏寿郎はすぐに内容を悟った。
杏「教えてくれないのか。言えないような事がある間柄であったとは…寂しいものだな。俺は君にとってあまり信用を置ける人間ではないらしい。」
「ち、違います…!」
杏「だが話したくないのだろう。」
「そ、……それは…、でも…、蜜璃ちゃんとのお話だし……。」
杏「そうか。」
そう言いながら杏寿郎は寂しそうに眉尻を下げながら微笑む。
それが計算であるとは露知らず、桜は酷く慌てながら赤い顔のままぎゅっと目を瞑った。
「杏寿郎さんについて…!書いてたんです……っ」
その赤い顔を見て杏寿郎は上がりそうになる口角をふるふると震えながら抑えた。
杏「…俺が君を困らせている事についてだろうか。」
「そ、そうではなくて……、」
桜は目を開いたが、俯いていたので杏寿郎が笑いを堪えていることに気が付けなかった。