第56章 戦いを終えて
―――
杏「買い物の前に寄りたい場所がある。」
その言葉に手を繋いだ先の桜は首を傾げながら杏寿郎を見上げた。
「どこですか?」
杏「…写真館だ。君の写真を撮っておきたい。」
それに返す言葉が見つからず、桜は少し黙った後こくりと頷いた。
その様子を見た杏寿郎は困った様に笑いながら桜の頭を撫でた。
杏「その様な顔も澄ました顔もしないでくれ。いつもの君の笑顔を残しておきたい。」
「……はい。」
煉獄杏寿郎という一途な男は自分がいなくなった後、代わりにその写真をずっと持っているつもりなのだろうと思うと桜の胸はきゅうっと痛くなった。