第56章 戦いを終えて
杏寿郎はそんな桜の気を引く様に手をクンッと引く。
すると軽く引いたつもりが体も軽く踏ん張る力も足りない桜は容易に体のバランスを崩してしまった。
「わっ、」
杏「すまない!!こちらを向いて欲しかっただけなのだが…。」
杏寿郎はそう言いながら桜の体を支えると申し訳無さそうに眉尻を下げた。
すると桜は相変わらずきちんと助けてくれる杏寿郎に向かって先程の言葉も含め全て許したような笑みを向けた。
「いつも杏寿郎さんが受け止めてくれるので問題はないです。でも街に着いたらこんな風に触れないように気を付けましょうね。」
そう言うと桜は街へ続く道を急ぐように杏寿郎の手を引く。
その楽しそうな様子に杏寿郎はほっとしながら笑みを浮かべた。
杏「あまり引っ張ると足を滑らせてまた転んでしまうぞ。君は相変わらず力が弱いな。」
『でも避ける術はだいぶ身につきましたよ!』と少し不服そうに主張する桜の頭を撫でながら杏寿郎は桜の手を握り直した。