第55章 遊郭に巣食う鬼
天「鬼の毒を血鬼術で消すなんて…こんなこと有り得るのかよ。混乱するぜ。それに…、」
そう言いながら斬られた筈の手を見つめる。
そして次に桜を見た。
天「ユネコサマ、感謝する。」
それを聞いて桜は思わずくすくすと笑う。
「残念、桜です。ちょっと待って下さいね。」
(もういいでしょう…?体を自由に使っても…。)
それに応えるように桜は大きな布の中で人の姿に戻る。
「わうっ」
杏「はは、大丈夫か。」
杏寿郎に助けてもらい、なんとか布団の布から脱すると 見える体のユキの前に天元が立っていた。
(お館様の前では膝をつくのに。)
天「今回は助かった。目も腕も失うところだった。」
ユ『当たり前だろう。私は癒やす為にいる。私がしたいからしたのだ。人の子がその様な事を気にする必要はないんだよ。』
その柔らかい声を聞くと柱合会議での禍々しい印象が薄れ、天元は目を大きくさせた後『そうか!』と言って笑った。
そうして遊郭に長らく巣食っていた鬼の討伐任務は皆 五体満足で終えたのだった。