第55章 遊郭に巣食う鬼
ユ『炭治郎…、動きが変わった……。』
驚くユキの視線の先で繰り広げられる戦いは炭治郎の方が一枚上手のように見える。
ユキは巻き込まれない様に気を付けながらも屋根の上に上がった。
そしてとうとう炭治郎がとどめを刺そうとした時―――、
炭「ゴホッ、ゲホッ、ゲホッ…、」
ユ『……っ!!』
ユキが慌てて駆け寄り炭治郎を撫でるも今度は鬼殺隊士である筈の炭治郎の体が治らない。
ユ『どうして……、何がしたいッ!!!』
ユキが吠えてもその声は炭治郎にも堕姫にも聞こえない。
そしてバランサーの声もユキには聞こえない。
そう嘆いている間に炭治郎に命の危機が迫ると箱から飛び出した禰豆子が堕姫の頭を蹴り飛ばした。
ユ『…………………………。』
その時、ユキはこの経験が二人にとって必要である事を漠然と理解した。