第55章 遊郭に巣食う鬼
「あ、ユキのこと知ってるんですね!私は癒猫様ではなく煉獄杏寿郎の妻の桜です!毒を飲んだと聞きました。撫でさせて下さい!」
雛「……え?…妻って…、あの、解毒薬はもう飲んで……、」
桜はバサッと布団を退けると戸惑う雛鶴の体を真剣な顔で優しく撫でる。
雛鶴は初め体を強張らせたが 苦しさの他に疲労さえも無くなり体が軽くなると目を見開いた。
「うん、良くなったみたいですね。では途中まで一緒に行きましょう!……あ、その前に…、私なるべく目立ちたくないのですが良い案はありませんか?」
雛「……目立たなくするのは難しいと思いますよ。でも姿を隠すのなら……、」
雛鶴は落ちた布団をクナイで引き裂く。
そしてどこから出したのか針と糸で器用に縫い合わせていき、出来たものを桜に着せ 更に手脚の周りも縫い、動き易く脱げにくくしてくれた。
「わ!フードがとっても深めのペット用服みたい……!すごい、動けるのに体が隠れてるし前もちゃんと見えるようになってる!!ありがとうございます!!」
雛「…………………え…っと……、」
「褒めてます!行きましょう!!」
桜はそう言うとダッと切見世を飛び出した。