第55章 遊郭に巣食う鬼
(……あの規模…死傷者が出てる。鬼殺隊士じゃない死傷者。でも、隊士さんじゃなくても今はこの体があるから信仰してもらえるはず…、)
―――あの神と同じことを考えるのね。今向こうにはあの神が居るからいいけど、まずは鬼殺隊に関係する人間を治して。服が違うけど一人毒を飲んでる。
(毒……!隊服を着ていないのならきっと宇髄さんのお嫁さんだ…。その人を治したら一般の人を治療していいのね?)
―――…まあいいよ。まだ "始まる" まで時間があるからね。そのまま真っ直ぐ行って。
桜は姿が見えない者に向かって頷くと脚に力を込めた。
―――
「宇髄さんのお嫁さーん!いらっしゃいませんかー!!鬼殺隊ですー!!」
雛「………………鬼殺、隊……?」
桜は崩れた建物から落ちた布団を被っていた。
自分でもユキの体は神々しい姿だとは思っていたが、今が夜であった為 一応怖がらせないようにと気を遣っての行動だった。
しかし大きな体は布団では隠し切れず、真っ白な大きな手脚は丸見えになっている。
雛「……癒猫様、ですか?」
最初はぎょっとした雛鶴だったが、幸い天元から話を聞いていた為に構えていたクナイを下ろした。