第55章 遊郭に巣食う鬼
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天「ばっかじゃねぇの!こっちは何ヶ月も掛けてわざわざ地味な潜入捜査してんだぞ!!ふざけてんのか!!」
杏「ふざけているのは君だろう。黙って妻を遊女にしようとするなど許し難いにも程がある。それにここは桜が担当していい任務地ではない。」
天「それは…お前らが離縁したって聞いてたからよ。」
杏「君はもう桜に近付かないでくれ。継子にも無理をさせるな。行くぞ、桜。」
「あ、…う、うん。宇髄さん、さようなら。」
(杏寿郎さん、すごーく怒ってる……。)
桜は未だ殺気を漏らす杏寿郎に優しく横抱きにされると 杏寿郎の肩越しに罰が悪そうな顔をしている天元を見つめた。
(根は悪い人ではないんだろうけど…。でも今回は宇髄さんがとっても悪いかな…。)
そう思うと桜は天元に向かって小さくあっかんべーをする。
それに天元がカチンと来た顔をした時、丁度杏寿郎が走り始めた。
(うん、少しすっきりした!)