第55章 遊郭に巣食う鬼
「何で…黙っていたんですか!!」
桜が怒りながら杏寿郎の着物をガバッと脱がして傷を治していくと杏寿郎はその普段とは異なる大胆さに笑い声を上げる。
それを聞いて桜は思わず後ろから杏寿郎の頬を優しく抓った。
杏「怒った時に君はよくそれをしているが全く痛くないぞ。場が落ち着くまでは心配させたくなかっただけだ。ずっと隠すつもりは無かった。…助かった。ありがとう、桜。」
桜はそれを聞くと怒るに怒れずパッと頬から手を離すと杏寿郎が服を着るのを手伝った。
そして身嗜みを整え終わると杏寿郎は早々に店を出ようとしたが、部屋に筝がある事に気が付くとそれを指差した。
杏「用意されているが、君は筝も弾けるのか。」
「え…はい…少しですが……。」
杏「では一曲だけ弾いてくれ!!そうしたらすぐ宇髄達と話をして出発しよう!!!」
杏寿郎の光り輝く笑みを見て意見を曲げないであろう事を悟ると 桜はすぐに筝の前に座った。