第55章 遊郭に巣食う鬼
杏「早く装いを変えてくれ。」
「あ、で、でも、これ返さなきゃ…、」
杏「買い取る!!早くしてくれ!!!」
そう即答されると桜は普段着用の地味な着物に切り替える。
それと共に化粧も取れると杏寿郎はやっと息をついて桜を抱き締め直した。
杏「やはりそれが一番だ。では一度部屋に戻って仔細を聞こう。」
―――
杏「なるほど。ではこの店に竈門少年もいるのか。」
「はい。杏寿郎さんが来る直前までは一緒にいたんだけど…、忙しくしてるみたいです。」
杏「そうか。とにかく宇髄に話して君は俺が連れ帰る。ここは色んな意味で危険だ。いいな。」
その言葉に桜が素直に頷くと杏寿郎は安堵から引き締めていた筋肉を緩めてしまった。
するとじわっと畳に赤い染みが出来る。
それを見た桜は青くなった。
急いで後ろに回ればやはり着物は真っ赤に染まっている。