第55章 遊郭に巣食う鬼
(遊郭っていわゆる夜のお店…キャバクラみたいな所よね。)
桜は "夜のお店" についてキャバクラ以上のものは知らず、お酒を注いでお話しをする大人の社交場程度と捉えていた。
天「そういえばお前楽器とか出来んの?」
天元にそう唐突に問われると不意を突かれてつい素が出てしまった桜は幼い顔をして素直に口を開く。
「ピアノやお筝…とかなら出来ます。」
天「……書道、生け花、茶道、和歌・俳句、囲碁・将棋。」
「えっ、え……っと、書道は母が段を持っていたので遊ぶように軽く習っていたのですが楷書以外は自信がありません。華道と茶道はきちんと習っていました。和歌は詠みませんが俳句なら祖母の影響で慣れ親しんでいたので少しは自信あります。囲碁と将棋はやり方を知っている程度ですが、」
天「派手に有能じゃねぇか!お前は高く売れそうだな!!」
(……売れる…………?)
「え、ど、どういった意味で、」
天「さあ、着いたぜ!!ここが愛憎渦巻く夜の街……、遊郭だ。」
「わ…わあ………っ!!!」
桜はドラマのセットのような光景に目を輝かせた。