第54章 嵐前の日常
杏「愛いなあ、愛い!!」
「えっ、……あの、」
杏「行くぞ!!今日は三人とは別の任務だが心配し過ぎずきちんと目の前の任務に集中すること!!!」
「は、はい!!」
そう答えてパッと立ち上がった桜は新しい隊服と羽織りに身を包み、飾りの刀をベルトに差している。
前田は血の涙を流していたが、杏寿郎と桜は意見を曲げず 通常の隊服を支給してもらっていた。
羽織りは以前と同じ花で染めた濃い藍色の物であったが 今回は白のグラデーションは無い。
また、髪は結局切らず 女性隊士に一番多いポニーテールにする事になった。
そこには杏寿郎から貰った葡萄酒色のリボンが揺れている。
(今夜も誰も死にませんように…。)
そう願う桜の上には雨雲が広がっている。
―――猗窩座と杏寿郎が戦ってから四ヶ月が過ぎようとしていた。