第54章 嵐前の日常
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炭「煉獄さん!桜さん!」
「た、炭治郎くん!血が……っ!!」
杏寿郎達の任務地に着いてすぐ桜は青ざめた。
しかし杏寿郎がすぐ落ち着かせるように後ろから肩に大きな熱い手を乗せる。
杏「心配するな、埋葬の時についた被害者の血だ。隊士の怪我人は一人いるが命に別状はない。治してやってくれ。」
「はい…!!」
桜は返事をすると急いで木に寄り掛かって座っている隊士の元へ駆け寄った。
(…………?……他の隊士さんも全員帰ってない。何で………ううん、好都合だ。)
「こんばんは。傷を診せてもらえますか?」
隊一「えっ、あ……っ!!はい!!」
桜は腕全体に広がる火傷のような傷を小さな白い手で慈しむ様に撫でていく。
その優しい表情と噂に聞く顔立ちにその隊士はみるみる舞い上がった様子になっていった。