第54章 嵐前の日常
遅い朝食、昼食、どちらにも幸い芋は出ず、杏寿郎は自身で芋を抜くという悲しい作業をしなくて済んだ。
そして午後の鍛錬に打ち込んでいる時―――、
要「合同任務ガ入リマシタ。場所ハ北、」
ケ「北ノ街ーッ!!ココヨリ北ノ街で二十人以上ノ人ガ消エテイル!!」
「ケンタ、もっと要先輩と仲良くできない?口調も前は敬語を使ってくれてたのに…誰の影響なのかしら。」
炭「あ、俺の鴉もこうですよ!」
「………………鴉の間で流行ってるのかな。」
そう真剣に首を傾げる桜を見ると炭治郎も真面目な顔をして首を傾げる。
杏「合同とは何人程度だ。隊士の被害はあるのか。」
要「人数ハ、」
ケ「人数ハ五人!隊士ハ一人、消息ヲ絶ッタ!!」
「ケンタッキー!!」
善(ケンタッキー……?)
杏「隊士の犠牲を出した鬼か。急ぐぞ、気合いを入れろ!!」
炭「「はい!!!」」
善「う、うぅ……、」
伊「やってやんよ!!」
それぞれが声を上げる中、要から何かを受け取った杏寿郎は大股で桜の側に寄る。
杏「胡蝶から貰った痛みを和らげる薬だ。腹が痛むようなら飲んでくれ。」
「杏寿郎さん…いつの間に……。ありがとうございます…!」
桜が眉尻を下げて嬉しそうに微笑むと杏寿郎も微笑みながら桜の頭を努めて優しく撫でた。