第54章 嵐前の日常
「桜の木がどの様な姿であろうと一緒に見に行ける事が嬉しいです!鬼殺隊に関すること以外でお外へ一緒に行くのは珍しいでしょう?」
杏「……そうだな。昼間は鍛錬ばかりで歌舞伎も能も観に行けていない。今は継子もいるのでもっと難しい。」
杏寿郎は微笑みながらも少し眉尻を下げながら桜の頭を謝る様に撫でた。
それに桜は首を傾げる。
(何で杏寿郎くんがそんな顔を……、)
「…そうだ、ほとんどが散ってしまっていたのなら 少ない花を探すのも楽しいと思いますよ。見つけられた数で勝負をしましょう!」
杏「勝負?」
「はい!私が勝ったら…来世で歌舞伎を、杏寿郎くんが勝ったら能を、」
杏「それはどちらも行くぞ。俺が勝ったら明日の走り込みは一ノ瀬家までの道のりにしよう。君が勝ったら明日の鍛錬は一ノ瀬家で行わせてもらおう。」
「あ………、」
ユキと会えていない事を察してくれた事に驚きながらも桜は嬉しそうにこくこくと頷いた。
「どちらも私が嬉しいことです。勝負の意味がないんじゃ…。」
杏「俺にとっても君と昼間にどこかへ行くのは褒美だ。あの三人も連れて行くことになるがな。」
そう笑いながら女性を一人連れてくる三人を見つめる。
杏寿郎の言葉に桜もつられて笑った。