第54章 嵐前の日常
杏「あの山だな。一番近い家は此処のようだ!話を聞こう!!」
杏寿郎はそう言うと他の者の返事を待たずに『すみません!!!』と戸口に向かって声を掛けた。
暫く経っても返事はなく杏寿郎は腕を組む。
杏「留守の様だな。田畑の方へ行ってみよう。」
炭「はい!俺達が探してきます!行こう、善逸、伊之助!!」
善「食べられちゃったんじゃ……、」
炭「いや、まだ人の匂いが強く残ってる。きっと…ってあれ?伊之助は?」
善「うわ!あいつもうあんな所に…っ!」
伊之助を追って炭治郎達が走り出すと杏寿郎は『頼んだぞ!!』と叫んだ。
そしてまだ人がいるかもしれない為に人の姿に戻っている桜の側で三人を見守る。
杏「次の朝、起きたら一番に桜を見に行こう。風が随分と強いのでまた散ってしまったと思うが…。」
「はい!!」
真っ直ぐ前を向いていた杏寿郎は元気の良い声に横を見た。
すると桜もその視線に気が付き微笑んで見つめ返す。