第54章 嵐前の日常
杏「着替え終わったぞ!」
その声に振り返ると杏寿郎は桜の目の前で羽織りを身に付け、日輪刀を手に取った。
(相変わらず綺麗な刀……。)
「……行きましょう。」
杏「うむ!!」
杏寿郎は一度微笑んで桜の頭をぽんぽんと撫でるとパッと切り替えて柱の顔になり、頼もしい不敵な笑みを浮かべて玄関へ向かった。
桜はその表情に目を細めると自らも頬をぺちぺちと叩いて気を引き締めた。
(久しぶりの杏寿郎さんの任務同行だ!!)
千「お気を付けて!!」
「うん、ありがとう。行ってくるね。」
桜は自身を久しぶりに見送る千寿郎がどことなく心配そうにしているのを見ると歩み寄って優しく抱き締めた。
そしてゆっくり背を撫でてから笑顔で顔を覗き込む。
「今日、都合がつけば晩酌をする予定なの。早く終わりそうならケンタを飛ばすからおつまみをお願いしてもいいかな?」
千「はい!!」
千寿郎が嬉しそうな顔になったのを確認すると頭を優しく撫でてから杏寿郎達を振り返る。
杏寿郎はそのやり取りを微笑んで見つめた後、パッと踵を返して門に向かった。
杏「行くぞ!!!」
炭「「はい!!」」
善「は、はい…。」
伊「命令すんな!!」
それから桜と炭治郎は伊之助に口調を叱りながら任務地である山へ向かったのだった。