第54章 嵐前の日常
何も知らない炭治郎はただただ真面目に取り組み、熱を持った体のまま鍛錬に打ち込み続けた。
杏寿郎が頃合いを見て午後の鍛錬を切り上げるように皆に言い渡すと、その声が聞こえたのか炭治郎もすぐに合流した。
(槇寿郎さんと二人きりになれた時、なんで炭治郎くんを指導しているのか訊いてみよう。今夜は杏寿郎くんがいるから無理だろうけど…。)
杏「軽食を食べたら向かうぞ!!」
「はい!!」
炭「はい!!」
善「うぅ……、行きたくないよう……。」
伊之助の返事がない事を不思議に思って沙織が振り返ると 伊之助は屋敷に向かって走り出してしまっていたようで、すぐに追いついた杏寿郎に捕まっていた。
杏「きちんと手洗いしなければ駄目だろう!」
杏寿郎が注意をするのを聞きながら桜は善逸を振り返る。
「善逸くんはどうして行きたくないの?」
善「死ぬかもしれないからですよッ!!!」
「わあ……びっくりした。」
善逸の迫力に思わず圧倒されていると炭治郎が屋敷に向かいながら善逸が剣士になるまでの経緯について話してくれた。