第54章 嵐前の日常
杏「短期間で上達しているのは確かだ。よく頑張っているな。その調子で励むと良い!」
それを聞くと桜は途端に元気になりパッと顔を上げて輝く表情を浮かべ、『はい!!』と大きな声で返事をした。
炭「桜さんってねこ神様のお姿の時は全集中の常中を出来ていますよね。でも呼吸を習い始めてからまだ間もないと聞きました。凄いです!」
「常中…?私ちゃんと呼吸使えるようになってたんだ…。」
炭「え?」
桜の抜けた答えに炭治郎は思わず目を大きくする。
その様子に桜は困った様に首を傾げた。
「瞑想している時にしか使えていないんだと思ってたの。でも目を瞑っている間に体が覚えてくれたのね…。実感は湧かないけど…確かに体はとてもよく動くようになったなあ。」
炭「へええ…すごいなあ。俺はとても時間がかかったので尊敬します!」
「ううん、時間を掛けて努力できるのは才能なんだよ。本当に炭治郎くんは頑張り屋さんだね。」
そう言われると炭治郎は照れながら素振りの鍛錬に向かった。
(よし、私は呼吸を…………、)
そう意気込むと桜は深く息を吐いた。