第54章 嵐前の日常
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槇「……もう破っただと?」
杏「申し訳ありません!!!」
「私を精神的に支えてくれたんです!!」
言い渡された事を守れなかった事を詫び、綺麗に頭を下げる杏寿郎の隣で桜は思わずそう弁明した。
しかし、それに対して槇寿郎ではなく頭を下げたままの杏寿郎がすぐに反応する。
杏「確かにそうした時もあったが自制が利かずに俺の欲から触れた時もあった!!申し訳ありません!!!」
「えっ!?…そうでしたっけ……。」
覚えがなかった桜は困った様な驚いた様な顔で杏寿郎を見つめてから再びハッとして頭を下げ直した。
「それで…大変勝手なのですが、罰を改めていただきたいのです!杏寿郎さんよりも私の精神が保ちそうにありません!!……杏寿郎さんは楽しんでらっしゃる時もありました!!」
杏「よもや!!」
杏寿郎は頭こそ上げなかったが その声色はとても驚いたものであった。
そんな二人を見て槇寿郎は深い溜息をつく。