第53章 ※不自由な夜
杏寿郎は身なりを整えてからそれを担ぐと離れの外へ運び出そうとする。
「え、あっ、それどうするんですか?」
杏「…?干すつもりだが。」
「だ、だめです!!精液は落とさないと…!」
桜も急いで浴衣をきちんと着ると杏寿郎の後ろに付いて行った。
杏「それにしても一晩で随分と上手くなったな。俺が寝ている間でも欲しくなればあれをして構わないぞ。俺にとっても良い目覚めになる。」
「しーっ!離れのお外ではそういう話はナシです…!」
桜は石鹸を溶かした水に浸した手拭いを固く絞って 何度もとんとんと精液が付いた布団を叩いていた。
上機嫌な杏寿郎はそれを手伝いながら止められても止められても昨晩の感想を言い続けている。
杏「褒めているんだぞ。」
「それは嬉しいけど恥ずかしくもあって…、それに善逸くんに聞かれちゃうかもだから…!」
杏「彼はああ見えて意思が強い所がある。女性への関心は確かにやや異常だが竈門妹に対する愛情は桁外れだ。そんな一途な男がこの話を聞いてどうこう思う筈がない。」
「私だって善逸くんが一途でいい子な事は知ってるよ!禰豆子ちゃんが人間になったらきっと一緒になるのは側でいつも想ってくれてる善逸くんなんだろなって思うもの。でもね、私がどうこう思うの…!」
杏「むぅ…君は他人が絡むと余計に恥ずかしがりになるな。」
久しぶりに一晩中 桜達の声で眠れなかった善逸は文句を言いたい気持ちで一杯であったにも関わらず、思わぬ形で二人に褒められると頭を抱えて『そういうところぉー!!』と叫んだ。