第53章 ※不自由な夜
杏「桜…、桜!一度止まってくれ!!」
「……どうしても…?」
桜がそう切なそうな顔で見ると桜の表情に弱い杏寿郎はぐっと言葉を詰まらせる。
このやり取りはもう十回以上続いていた。
しかし、今回は流されず杏寿郎は拳を握った。
杏「どうしてもだ!新しい愛し方である上に君の負担はどう見ても大きい。少しは休まないと体が保たないぞ!!」
「杏寿郎くん……。」
思い遣っての言葉に桜は一度愛おしそうな目を向けたがすぐに辛そうな表情に戻った。
「だけど…ごめんなさい、止め方が分からないの……。腰が…勝手に動いちゃって…、」
杏「それは…………………困ったな。」
結局二人は解決策を見出だせず、桜の貪欲な体が満足する朝までそれは繰り返された。
―――
「ご迷惑をお掛けしました……。」
杏「その様なものは掛けられていないぞ!とても気持ち良かったし眺めも良かった!!君の体だけが心配だったのだが…、君はこういった行為に関しては体が丈夫であるように思える。不思議だな。」
「相性がいいって言って下さい。」
桜はそう言うと眉尻を下げながら汚れに汚れた布団を見つめた。