第53章 ※不自由な夜
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杏「すごいな。何度目だ。」
「…………………二回…。」
杏「嘘は良くないな!!布団も限界だ。畳に染みる前に干しておこう。」
杏寿郎は潮で濡れに濡れた布団から立ち上がるともう一組の布団を敷き 桜の体を拭いてから横にする。
杏「随分と色香も収まった。疲れたろう、寝てても構わないぞ。」
そう言うと重くなった布団を持って杏寿郎は部屋を出ていった。
「寝ないよ。」
慌てて声を掛けるも力が抜けた為か出た声は小さく 杏寿郎には届かなかった。
(杏寿郎くんも私を見ながら自分でしてたけど満足したのかな。槇寿郎さん、何て罰を思いつくんだろ…一ヶ月は長いなあ…。朝になったら他の罰にしてくれないか頼んでみ、)
杏「む、起きてたか。」
「…………びっくりした。」
音無く枕元に立った杏寿郎に顔を覗き込まれた桜は思わず肩を竦めた。