第53章 ※不自由な夜
(杏寿郎くんの目の前で解さないといけないの…。)
桜はそう思いながらも杏寿郎の苦しそうな昂りに目を遣ると思い切った様に自身の下腹部に手を伸ばした。
しかしそれに杏寿郎は眉を寄せる。
杏「君の指では駄目だ。細すぎる。」
「…そんな……それって………、」
眉尻を下げる桜に差し出されたのは予想通り杏寿郎の手だった。
桜が手を見つめて困っていると杏寿郎は首を傾げる。
杏「張形が良かったか?あれもまだ入らないと思うが…。」
「いえ!失礼します!!」
張形を見るのも嫌だった桜は杏寿郎の手を慌ててぎゅっと握り、目を瞑りながら手を大事な場所へ導いた。
(恥ずかしいにも程がある…でも導きさえすればあとは何回もされてた事だし…………って、あれ…?)
「杏寿郎くん…?あの、ここだよ。」
桜が遠慮気味に杏寿郎の手を自身へそっと触れさせるも杏寿郎は感情を読みにくい笑顔を浮かべながら少し首を傾げた。