第53章 ※不自由な夜
杏「…………驚かせてすまない…だが……、危ないのは君の体だぞ。…いつぶりだと思っている。」
「あ…ぅ、……ごめんなさい…。」
杏「そう萎縮しなくて良い。怒っている訳では無い。それに俺も君の制止を振り切って行動した事が何度もあるだろう。……君を撫でて安心させたいのだが頼めるか。」
そう優しく言われると桜は少し微笑み、もどかしそうにしている杏寿郎の手を掴み自身の頭に乗せる。
杏寿郎が体を起こした事によって杏寿郎に跨ったままの桜と杏寿郎の体は今にも触れそうな程に近い。
それを意識しない様にしながら杏寿郎は桜の嬉しそうな笑顔を見つめ、ただただ頭を撫でた。
杏「…………桜、俺は今これしか出来ない。進めてくれないだろうか。」
杏寿郎が焦れてそう言うと嬉しそうだった桜の微笑みがみるみる赤く染まる。
「そうだった……、えっと、ちょっと待ってね。」
(次……次…………?もう入れて、)
杏「恐らく今のままでは挿れ難いぞ。よく解さないと痛むかも知れない。」
「え…!?い、痛いって…………、」
杏「前回、数日しなかっただけで随分と狭くなっていた。今回は一月だろう。」
その心配そうな声音に桜は嬉しさを感じつつも眉尻を下げた。