第53章 ※不自由な夜
杏「俺からは出来ない。」
「な…に言って………、」
(私が……杏寿郎くんの指を入れて手を持って動かせってこと……?)
杏「俺も動かしたいが罰なので仕方ない。」
「…………ちょっと楽しんでませんか…?」
そう問われると相変わらず感情を隠した笑みを浮かべていた杏寿郎は 図星を突かれた様に体を揺らしてから固まった。
それを見た桜は顔を赤くさせながら眉を寄せる。
「杏寿郎くんの意地悪!そうやってからかうなら今日はもうしないですよ!!」
杏「楽しいのは事実だが揶揄ってはいない!!それに欲から指を動かさないわけではない!罰を意識しているからだ!!」
その声音と表情からそれが本音である事を分かってしまった桜は その質の悪さに溜息をついた。
(動かさない理由は純粋に罰があるからってだけで、でも楽しんでる…。一番最悪なパターンだ………。)
そう思いながらも腹を括った桜は杏寿郎の人差し指を強く握り、深く息を吐いてからつぷっと自身へ挿れた。
その瞬間、久しぶりに感じた高く愛しい体温に桜の視界には星が飛び 思わず杏寿郎の肩に噛み付いて達した。