第52章 受け止め方
杏「桜、」
「大丈夫です。命を取りこぼす覚悟はしていましたし、みのると似た傷を見てショック…悪い衝撃を受けた訳でもありません。撫でる順番を変えれば、もっと早く着いていれば…、と後悔することがあるのは確かですが 別にだから挫けそうって程ではないんです。」
杏「そうか。」
そう短く言うと杏寿郎は桜の頭を優しく撫でる。
桜はそれに驚いて思わず顔を上げた。
「……勝手に触っては怒られてしまいますよ…。」
杏「そうだな。だがその方がましだと思った。後悔はない。」
それを聞くと桜は杏寿郎の胸に顔を埋め直す。
そして肩を震わせた。
杏寿郎は救えなかった隊士やその家族を想って声を押し殺しながら涙を流す桜の頭を絶えず撫で続けた。