第52章 受け止め方
隊「あの人は…芹澤さんは、俺達を庇ってあの様な傷を負ってしまったんです……せ、せめて…姿だけでも元に戻してあげてくれませんか…?芹澤さんにはご家族がいるんです。あの様な姿のままでは…と、とても会わせられません……!!」
それを聞いて一度明るくなった桜の瞳は光を失った。
「……私が出来るのは再生ではなく治癒です。生きていてくれないと出来ません。本当にごめんなさい。…せめて、なるべく元通りに見えるように手を尽くしましょう。私も手伝います。」
そう言うと桜は眉を寄せるしのぶと共に再び病室へ入っていった。
―――
「こびり付いた血を拭うだけでも結構変わりますね。……お顔は綺麗なままでよかった。」
桜は顔に付いた泥や血を湯で濡らした手拭いで落とすと 今度は髪を拭いていく。
頭からの出血で髪も血で固まっていた。
その隊士に触れる桜の慈しむような手付きや表情は酷く優しく穏やかで、しのぶや他の隊士は思わず手を止めて二人を見つめていた。
(お腹……ぐちゃぐちゃでみのるの傷みたいだった。あの事件の後 私は気を失って、その上記憶を失くしていたから気を遣われてお葬式にも出ていない。私の記憶の中ではあの姿が最後。みのるの代わりになんて失礼だけど…この人は綺麗にしてあげたい。)