第52章 受け止め方
(酷い……食い千切られたみたいな断面…。普通ならこのまま失血死する。とても助かる状態じゃない。止血と麻酔だけして私が来るのを待っていたんだ。あと四人……!!)
し「芹澤さん!反応が…桜さん!!こちらの方を先に!!」
「はい!!」
呼ばれるまま桜が様子のおかしい隊士の元へ駆け寄り腹を撫でるも傷が治らない。
慌てて確認するように千切れた足も撫でてみたが再生することはなかった。
「……っ!!亡くなられています!!!」
そう言うと桜はパッとその隊士から離れ 他の患者の元へ向かう。
その時、悲痛な声が病室に響いた気がしたが桜は聞かないように目の前の治療に専念した。
(あの人から撫でていれば助かったかもしれなかった…!いや、そんな事考えるのはあとだ…せめて他の人は……!!)
―――
し「お疲れさまです。……大丈夫ですか…?」
「しのぶちゃんもお疲れさま。私は大丈夫だけど隊士さん達が心配。酷く悲しんでいた。」
しのぶは桜が涙を一滴も溢さなかった事を意外に思いながら桜に水を手渡した。
桜はそれを受け取ると病室の外で壁に寄り掛かりながらそれを飲んだ。