第52章 受け止め方
ケ「緊急!緊急!!鬼ト戦ッタ隊士八名ガ命ニ関ワル重症ヲ負ッタ!!今スグ向カエ!急ゲ!急ゲェ!!」
「は、八名も命に関わる重症なの!?」
ケ「急ゲェ!!」
「む、むりだよ…しのぶちゃんが来てくれないと行けない…あ!そうだ!!」
(槇寿郎さん…!!)
桜はそう思い至るとケンタを黙らせ、槇寿郎の部屋へ急いだ。
「槇寿郎さん!私を蝶屋敷に連れて行ってくれませんか!!重症の患者さんがいらっしゃるんです!!」
ケンタの声を聞いていた槇寿郎はすぐに襖をスパンッと開けると廊下に出て びっくりして固まっている桜を置き去りにドスドスと玄関へ歩いていく。
慌てて追い掛けてよくよく見れば槇寿郎は既に袴を履き、外用の羽織りを身に着けていた。
(聞いてすぐに用意してくれたんだ…。)
「ありがとうございます!」
その言葉を聞いて槇寿郎は溜息をつくと振り返って桜の頭を乱暴に撫でる。
「わわっ」
槇「そういうところだ。これは当たり前の事だろ、迷わず頼れ。早く行くぞ。」
「は、はい!!」
桜は不謹慎だと思いつつも胸に広がる温かさに少し頬を緩めながら槇寿郎の後を追った。