第10章 お見送りとお父さん
千「…不思議ですね……。」
「どういう事だろう……。体が二つ…全くの別物…完全独立…。」
桜はむーっと眉を寄せる。
「は!もしかして、ユキの体に私がお邪魔したみたいな…感じ…?」
千「ど、どういう事でしょうか…?」
「うーんと…、体は完全に二つに別れたものがある。つまり、人が猫の形に変形したわけじゃない…。模様替えじゃなくて引越しみたいな…。」
(必ずどちらか片方の体しか見えないからややこしく感じるけど…。)
「私の身をユキが心配した時や私が望んだ時、ユキが自分の体を私に貸すの。入っていいよーって。」
「つまり、ユキの姿はあくまでユキから借りた物で、私の体とは無関係。だから痛みは引き継がない…お味噌汁も顔の周りについたまま……」
「片方の体が見えない理由は全く思いつかないけど………あと、」
そこで桜は大きく首を傾げる。
「…………ユキは信仰が途絶えた時に体を失っているはずなんだよね…。」