第52章 受け止め方
千「もう怒っていませんよ。そんな風に接されたら悲しいです。兄上はまだ寝てらっしゃるのですか?」
「あ、そ…そうだよね。ごめんね…。杏寿郎さんは寝てるよ。私が今さっき起きたばかりだから…。」
桜は謝るように千寿郎を抱き寄せると優しく頭を撫でた。
いつもなら照れて赤くなる千寿郎はただ嬉しそうにそれを受け入れてから桜の顔を覗き込む。
千「兄上はきちんと父上の言い付けを守られていましたか?」
「うん。可哀想なくらい自分に厳しかったよ。おでこに血管浮いてた。」
千「そうですか…。僕、起こしてきますね。」
千寿郎は桜に『お願いします!』と見送られながら離れへ向かうと 断りを入れてから寝室へ入り、静かに眠る兄を見つめる。
千(布団を半分しか使っていない。ご自分からは触れなかったとはいえ仲良く一緒に寝られたんだ。)
千「兄上!おはようございます!!」
―――
「竈門くん、善逸くん、伊之助くん、おはよう!一緒に鍛錬するの久しぶりだねえ。」
ユキの姿でそう言うと炭治郎のみ爽やかな挨拶を返す。
伊之助が挨拶を返さないことは多々あった為 桜は大して気にしなかったが、様子のおかしい善逸には髭を下げた。