第51章 家族
「杏寿郎さんが見た実弥さんの顔を私は見てないから正直信じられない…。本当に妹のように扱われてるの。」
杏「まず俺と不死川を同じ様に呼ぶのをやめて欲しい。俺を "杏寿郎さん" と呼ぶのなら彼は "不死川さん" だ。」
「…それは……、」
言い寄られている男相手になら杏寿郎の言う通りにしたが、桜は実弥に余所余所しく接する事に抵抗があった為すぐに頷くことが出来なかった。
その様子を見て杏寿郎は小さく息をついたあと撫でていた手で頭をぽんぽんと優しく叩く。
杏「区別するのは俺と不死川の話をする時だけで良い。それに俺の呼び名は二つあるだろう。」
「あ……うん、ごめんなさい。…杏寿郎、くん。」
杏「うむ。では話を戻すぞ。不死川が今君をどう思っているのか確かな証拠がない以上、俺は君を彼と二人きりにさせたくない。どちらのことも信頼してはいるのだが気持ちが追いつかない。」
「気持ちが追いつかないって感覚は私も分かる…から、どうにかしたいけど私情で担当変えて平気なのかな…?実弥さんに変える時 結構強引にしてしまったし、あまり時間も経ってないし…。」
杏「事後報告をするのではなく、きちんとお館様に話を通して順序を踏めば期間の短さは問題ないだろう。」
「うん、そうだね…そうするよ。」
桜はそう言うと杏寿郎の顔を心配そうに覗き込んだ。