第51章 家族
善逸は『ヒッ!!』と一度悲鳴を上げたが、千寿郎に見つめられるうちに何度もこくこくと頷いた。
善「その………、は、柱の人がいる前でも抱き着いたり……押し倒した人もいて、武勇伝のように話していました。…とても柔らかかったとか、いい匂いだった…とか、なんとか……。」
それを杏寿郎に隠していた桜は杏寿郎に見られるより先にバッと顔を背ける。
(いきなり矛先がわたしに…!でも隊士さん達の動き速いんだもん…気を付けてても避けられなかった……。)
杏「その反応…本当なのだな。俺の嫁だという噂がきちんと残っていた時には無かったのか。」
「え……あ、うん。手は握られることあったけど、それ以上はなかった…です。」
杏寿郎が怒っていない事に戸惑って桜が振り返りながらそう答えると、杏寿郎の顔色は悪くなる。
杏「しかし その噂も一度消えてしまえば再び流すことは困難だ。古い情報だと思われかねない。」
「確かに………そうだね……。」
二人が ずーーーんと暗い空気を出すと槇寿郎と千寿郎は呆れた様な顔になって溜息をついた。
千「とりあえず上がって下さい。それから、改めて…お二人ともお帰りなさい。」
そう言って漸く千寿郎が彼らしい笑顔を浮かべると桜の顔色は一気に明るくなる。