第51章 家族
杏「父上!これにはすれ違いが重なった複雑な理由が、」
槇「だとしてもだ!!すれ違いが重なったまま取り返しがつかなくなってもおかしく無かったのだぞ!分かっているのか!!炭治郎君達の話によればお前らはもう夫婦ではないそうだ!!柱のものだと思っていた女が手が届く存在だったのだと勘違いされる事が桜の場合どれだけ危険な事だか分かっているのか!!!」
杏「父上!!その噂の出処は俺にあります!!!」
その言葉を聞くと激昂していた槇寿郎はゆっくりと杏寿郎へ視線を移した。
桜が伏せていた目を上げると千寿郎だけでなく継子三人組も数歩離れた所に集まってきていて 炭治郎と善逸は心配そうな顔をしていた。
そして千寿郎の顔には怖い程に表情が無かった。
(千寿郎くん…槇寿郎さんより怖い……。)
槇「どういう事だ、杏寿郎。」
その声に桜は我に返ると隣の杏寿郎を見上げる。
杏「はい!まず俺が戦闘中に指輪を壊し、外した状態で若い女性隊士と普段見せない表情を浮かべながら頻繁に話すようになった為 その女性と俺が恋仲なのではという噂が立ちました!!」
杏「桜は次第に指輪を指摘されても上手く説明出来なくなった為にそれを外し、焦がれさせたいと目論んだ俺が三週間放ったらかしにした結果 噂と寂しさから精神が削れ、別れ話をされるのではと勘違いをして逃げていた様です!!」
桜はその説明を聞きながら改めて『自身はそこまで悪かったのだろうか。』と思っていた。