第50章 すれ違い
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「実弥さん、早く終わったし蝶屋敷へ行きたいんだけど…いいかな……。」
実「あァ。ほら、さっさと行くぞォ。」
「うん!ありがとう!!」
(実弥さん、今日は疲れてるだろうに…。わたしに甘々だなあ。……杏寿郎さんも…そうだったけど……。)
桜は表情を気取られるより前にユキの姿になろうとしたが借りられず、実弥に負ぶさって貰って蝶屋敷へ向かった。
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杏「…………桜……?…桜ッ!!!」
実「ちょっと待ちなァ。」
実弥と実弥におんぶされていた桜は蝶屋敷の門前で杏寿郎と鉢合わせた。
そして必死な形相で近寄って来た杏寿郎に桜が身を竦めると 実弥は桜を下ろしてから杏寿郎を制する様に一歩前へ出た。
その様子に杏寿郎は眉を顰める。
杏「不死川、君は関係ないだろう。一ヶ月以上話を出来ていない。すまないが外してくれ。」
実「指輪外させて顔色悪くさせておいて何の話だァ?せっかく元気になってきたんだ、怯えさせずに話せるようになるまで頭冷やしてろォ。」
その言葉を聞いて杏寿郎は桜が意思を持って実弥の後ろに隠れている事に気が付いた。
その二人の様子が以前の自身と桜の様であり、特に桜の行動は他の男達へ取っていた拒絶する態度を思わせた為 杏寿郎の心臓は嫌な音を立てて跳ねた。