第9章 鍛錬
「ふふっ…清々しいほど真っ直ぐですね。私も杏寿郎さんのそういう所をとっても尊敬しています!!」
いつもなら恥ずかしくなる言葉だったが、杏寿郎があまりにも当たり前のように本心を言うので、桜も素直に自分の気持ちを話すことができた。
杏寿郎は嬉しそうにする桜を見て自身も嬉しそうに口角を上げると褒め合戦を始めた。
杏「白い毛が神々しく揺れて綺麗だ!」
「…えっ…意思が強い事が分かる目が素敵です!」
杏「体温が温かく心地よいところも気に入っている!!」
「何事にも真っ直ぐな心が綺麗で好きです!!」
杏「肉球が柔らかくてとても気持ちがいい!!!」
「堂々とした声が………ちょっと待ってください!」
杏「む?」
「杏寿郎さんが褒めたの全部ユキについてですよ!!」
そう言うと、桜は悔しくて杏寿郎に頭突きした。
杏「む"ぅっ!…なかなかいい頭突きだな!ユキ…その体の友の名か。ふむ。」
そして杏寿郎は少し楽しそうな顔をして口を開いた。
杏「他人の命の為に自身を危険に晒す覚悟をすぐに出来る君が好きだ!」
杏「気持ちが先走ってしまうところも愛らしい!!」
杏「放り出す者が多い走り込みも、くじけずやり遂げた意志の強い君も好きだ!!!」
"これならどうだ!" といった感じで杏寿郎は桜を見つめた。
(正直、好きと言われるのはこそばゆいけど内面を褒められるのは嬉しいな…。)
「ふふ、ありがとうございます!!」
ほわほわと和む空気が流れる。
だが、すぐに二人同時に鍛錬の顔付きに戻った。
杏「よし!では早速始めよう!!」
「はい!よろしくお願いします!!」