第9章 鍛錬
杏「全集中の呼吸に一番重要なのは、その名の通り呼吸だ!」
そう言うと杏寿郎はスッと踵を返し、庭の中程に向かって大股で歩き出した。
桜もそれに小走りで続く。
杏「もちろん…、桜が今までしていた呼吸とは全く異なる特殊な呼吸だ。そしてその呼吸を保つのは簡単ではない。」
そして立ち止まるとバッと振り返って桜を真っ直ぐ見下ろした。
杏「辛いぞ?」
杏寿郎はいつもの大きな目と口角を上げた感情を読みにくい顔をしている。
それに物怖じせず桜は強気な声を出した。
「もちろん承知の上です!そして、杏寿郎さんは私がこう答えると確信してくれていたとも思っています!!」
そして じっと真剣な目で杏寿郎を見つめる。
杏寿郎は少し目を大きくしてから愉快そうに大きな声で笑った。
杏「ああ、当たりだ!俺は先程、君の意志の強さを信頼する事にした!まだ会って間もないが、随分と好ましい点が増えたな!俺は既に君の事をとても気に入っている!!」
それを聞いて桜は嬉しそうに耳をピンと立てた。