第47章 ※前途多難
杏「すまない。願いはきちんと聞く。中に出されるのはそれ程までに嫌か。」
穏やかに謝られると桜はぐっと言葉に詰まってから困った様な表情を浮かべて視線を逸らす。
「お外に出しきるの大変なの。知ってるでしょう?」
杏「ではそれ以外に特段嫌という理由は無いのだな。桜、風呂へ行くぞ!」
「え?こんな時間にお湯なんて…わっ!」
杏寿郎は浴衣を簡単に着付け、戸惑う桜にも浴衣を軽く着せて横抱きにすると 中から欲が垂れないように押さえる為のちり紙を桜に手渡し 颯爽と部屋を出た。
杏「先程の男は宜しくないが その母と思われる女性は随分と親切な方だった。夜はずっと起きて鬼殺隊士を迎える準備をしているとの事だ。さすがに今日はもう泊まれる部屋はないが、風呂は定期的に温め直してくれているそうだぞ。」
(……もう受け入れられないのに何でお風呂を温め直しているの…?まさか………私達の為なんじゃ…、)
そう思い至ると桜はパッと顔を赤らめる。
杏「風呂で愛せば畳に子種が落ちる心配もしなくて済むだろう。声は響くので注意しなくてはならないがな。」
「…………本当に声、気を付けなきゃ…。今寝れてるの無一郎くんだけなんじゃないかな…。」
桜がそう小さく問うと杏寿郎はそれを肯定する様に微笑み、それを見た桜は更に赤くなったのだった。