第47章 ※前途多難
その言葉通り、数十分前に色香の影響で首を傾げつつ起きた摂津は 憧れである杏寿郎の妻の部屋から聞こえた不審な音に眉を顰めながら様子を見に来ていた。
しかし炎柱の羽織りを見ると全てを察し 顔を赤くしてすぐに退散していたのだ。
そして同様に起きて廊下に出てきていた安達を部屋へ押し戻しながら『ここから出るな』と注意し、相部屋になっている濱岡と佐伯を訪ねると 慌てて自慰をしていた事を誤魔化す二人の姿に眉を顰めつつも『絶対に部屋から出ないように』と釘を刺したのだった。
(炎柱の羽織りって…そんな大事なものを廊下に……?)
桜はそう思うと眉尻を下げる。
その様子を見た杏寿郎はまだ安心を与えきれていないのかと勘違いをした。
杏「本当に大丈夫だ。先程様子を窺いに来た隊士は強い理性を持っている男だったようですぐに去った。それに他の三人が来ない事から考えると恐らく注意して回ってくれたのだろう。」
(…窺いに来た隊士……?三人に注意……?)
桜は状況を飲み込むと共に顔をどんどん赤くさせていった。
(たぶん摂津さんだ…。杏寿郎くんに憧れてくれている人に私…こんな音を聞かせるなんて……。もしかしてまだ起きてるのかも…。)
恥を覚えると桜の中は心とは裏腹に喜ぶ様に締まる。
杏寿郎はそれに気を良くすると桜の頭を撫でながら腰の動きを速めた。