第47章 ※前途多難
杏「目を開いてくれなければこの音で時透が起きるかもしれないぞ。弟に似ているという彼に聞かれてもいいのか。」
その言葉に桜はパッと目を開き、『む"ーー…っ』とくぐもった不満気な唸り声を上げた。
杏寿郎はその声色には反応せず、目が合うとただただ嬉しそうに微笑んで誉める様に桜の頭を優しく撫でる。
杏「今日は随分と早く言うことを聞いてくれたな。やはり時透にこの様な行為をしていると知られるのは嫌か。だが彼は先程俺がこの屋敷へ着いた時起きていたぞ。」
(………………え…?)
杏寿郎は今はもう寝ているであろう事は告げず 長い律動に変えると口を自身に塞がれながら余裕を失くす桜の赤い顔を眺めた。
杏「む、求める様に締まったな。君は随分といけない姉のようだ。」
端ない自身の体の反応に耐えられなかった桜が再び目を閉じると恥からくる涙が溢れ流れる。
杏寿郎はそれに口付けると額を合わせた。
杏「心配するな。君の体がどう反応しようと心は一途だという事はしっかりと分かっている。体も俺が触らなければ薬を使われない限り熱くはならないだろう。だが、愛らしい顔に似合わず随分と厭らしい事は事実だな。…また締まったぞ。」
杏寿郎の言葉がどんどん意地の悪いものへ変わっていくと、甘く愛すと約束された筈の桜の顔は赤く余裕の無いものから再び不満そうなものへと変わっていく。